以前にも
【関節が鳴る(ポキポキ音がする)のはなぜですか?】
といった内容のブログを書いておりますので、そちらもご覧いただけると良いかと思いますが、今回は改めて「ボキボキ音が鳴る施術」に関してよくいただくご質問にお答えして参りますね。
なぜ音が鳴るのか?
まず「なぜ音が鳴るのか」、その正体について解説致します。
上記でご紹介したブログにも掲載しておりますが、諸説ある中で、最も有力だとされているのは、関節の中の滑液中で圧が低下することで起こる気泡が弾ける音だと言われています。
圧力を低くすると、水の沸点が下がり、室温でも水を沸騰させることができる現象が、関節内でも起こり、それが音の正体であると科学的に解説されています。
気圧の低いところでは、沸点が低くなりますが、圧力をかけると気化する性質があり、それが関節内で起こっているんですね。(詳しい説明は、こちらのブログをご覧ください。)
関節を引っ張ったり、曲げたり、腰を捻ったりして音が鳴ることを多くの方が経験されたことがありますよね。
音を鳴らしても大丈夫なのか?
皆さんがご心配されていることだとは思いますが、「音って鳴らしても大丈夫なの?」とお考えの方も多いのではないでしょうか?
結論から申し上げますと、ほとんど問題ありません。
むしろ、年齢が上がるにつれて音は鳴らなくなり、「関節の音が鳴る」ということは、関節が固まっておらず、老化を防ぐ「アンチエイジング」の効果もあると言えます。
高齢になって来ると、関節の可動域が減少し、「動き」が少なくなります。
ボキっと音が鳴るということは、まだ可動域があると考えられるんですね。
さて、よく心配されることですが、「指を鳴らすと太くなる」と聞いたことがある方も多いかと思いますが…
実際にそれで太くなった人は実はいないんです。(太くなるのは別の理由)
その他にも心配なことはあるかと思いますが、少しずつ解説して参りましょう。
実際にあった例
少し話は逸れますが、私の修業時代に実際にあった例をご紹介します。
「若い時はボキっとやってもらってスッキリしたんだけど、最近音が鳴らなくてね。できれば鳴らしてくれないか」とお願いされる方がいらっしゃいました。
その方は70歳を超えた方だったと記憶しているのですが、修業時代の私は「本当にやっても大丈夫なのかな」と思いながら、お願いされたからと果敢に挑戦?させていただくことに。
しかし、やっぱり上手く行きません。。。先輩方もお願いされていたようですが、なかなかご希望を叶えてあげられることができませんでした。
もちろん、私の技術不足は否めませんが、その方がご自身でやってみても、やはり鳴らなかったわけで、ある程度加齢による関節の可動域の低下が起こっていたと考えられますよね。
音が鳴るのは健康に良いのか悪いのか?
さて、この問題が重要かと思いますが、「音を鳴らすこと」自体は健康に良いのか、悪いのか?
それが気になるところですよね。
もちろん、様々な考え方がありますし、医師が「危険」だと警鐘を鳴らしていることもあります。
- 鳴らないのに無理に鳴らそうとする
- そもそも適切なやり方でない
- 怖がっている方に対し無理に行おうとする(緊張している身体に無理に行う)
- 強引にやろうとする
上記のようなことがあるとやるべきではないと考えますが、適切なやり方をちゃんとした方法で行えば、当院の考えとしては、比較すると「高齢の方々」の関節の可動域が、極端に減少していることを考慮し、鳴った方が関節の可動が正常なのではないか考えます。
「身体が柔らかいこと」は筋肉の柔軟性だけではなく、関節の柔軟性や「靭帯」と「椎間板」なども柔らかい方が良いんです。
多くの方を施術させていただくと、高齢になって来ると極端に関節の可動域が悪くなることに気付きます。
もちろん、他の方法で関節の可動を柔軟に保つ方法もあるのかと思いますが、まだ関節の可動性がある年齢から「関節の靭帯の柔軟性」を保つため、音を鳴らすことも必要なのかと考えます。
やらない方が良い人
もちろん、鳴らないのに無理に鳴らすことはNGですが、背骨に全く可動がない人には、「椎間板」が潰れてしまっている可能性もありますし、「骨棘」(骨が棘のように変形してしまう状態)がある場合も多いので、矯正しない方が良いでしょう。
矯正(音を鳴らすこと)により靭帯の損傷は起こるのか?
といった疑問もあるかと思いますが、正しいやり方でやれば、靭帯の損傷は起こりません。
もちろん、やるべきではない方(骨が脆くなってしまっている方々)にやってしまうと「靭帯損傷」どころではなく、「骨折」が起こります。
背骨に柔軟性のある人に頻繁に行うと、靭帯が弛緩し、身体を動かしただけで音がなったりします。
靱帯が弛むということは、可動域が良くなること。
賛否はあるかと思いますが、背骨の柔軟性があることは重要ですので、音が鳴ることで柔軟性を保つことができると考えることができます。
反対に音が鳴らないことは、いわゆる「老化」の一種だと考えられ、あまり良い状態ではないと考えることもできます。
矯正によって事故が起きる?
音を鳴らす(矯正)によって、「事故」つまり身体を痛めてしまう可能性ですが、もちろんゼロではありません。
首を鳴らすことで、「椎骨脳底動脈解離」が起こるのではないかと言われています。
首への外部的圧力により首にある動脈の内壁が裂けてしまい、裂けた壁の隙間に血液が入り込んで膨らみ、血管を塞ぐとことを「椎骨脳底動脈解離」と言います。
血管を塞ぐため、「脳梗塞」を起こす可能性があると、医師は言い、その脳梗塞が起こった原因が首に外的な圧力をかけたことだと診断をすることがありました。
しかし、実際にこの医療事故が起こる確率を見て、私も驚きました。
2001年に掲載されたカナダの論文では、1988年から1997年の10年間に行われた首の矯正(音を鳴らす)で脳梗塞になった確率は、585万分の1回だったそうです。
こういった研究で難しいところが、被験者が同じ状態ではないことです。
肥満の人もいれば、高血圧の人もいるかもしれないですし、糖尿病の人もいるかもしれません。
運動習慣がない人もいるでしょうい、そういった方々を一様に同じ条件にすることは難しいですね。
血管の状態は人それぞれですし、何度やっても平気な人はいるでしょう。
反対に、糖尿病があって血管がボロボロな人だと、そういった事故が起こる確率は高くなります。
また、頭痛薬や痛み止め、頸椎の手術でも死亡事故は起きていて、その確率は先ほどの585万分の1よりも圧倒的に高いんですね。
もちろん、手術には危険が伴うことは皆さん理解しているとは思いますし、薬にも副作用があり、それによって健康を害する結果になることもご存知かと思います。
しかしながら現実は、頸椎の矯正によって深刻な医療事故が起こる確率は、そういった西洋医学的な処置よりも圧倒的に低いのです。
こういった手技療法に対し、否定的な意見を言う医師も多く、そういった確率を知らないで話している可能性が大きいのです。
だからといって、100%安全であると言い切れないわけですから、「技術」があることが大前提で、「やってはいけない人」をしっかり見極められる経験も必要なことは言うまでもありません。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
実は、怖いようで安全な整体法だということがご理解いただけたかと思います。
もちろん、怖いのに無理に行うことは危険を伴うため、行わない方が賢明です。
しかし、ボキボキ鳴った方が若いなんてことはあまり意識していなかったのではないでしょうか?
関節の可動域、大事ですからね。それを意識して行くと良いかと思います!
では、今回は以上となります。
お電話ありがとうございます、
よこはま山手治療院でございます。