梅雨時期から夏場にかけて増える「足のつり」について
よこはま山手治療院の中野です。
梅雨時期から夏場にかけて、お困りの方が増える「足がつってしまう」症状に対して、日頃患者さんにお話させていただくことを、こちらのブログでもご紹介して参りますね。
※ここでは、糖尿病や閉塞性動脈硬化症、腎疾患、脳梗塞などのケースを除いて考えています。
一般的には、
「冷え」
「疲労」
「水分不足(電解質の異常)」
この3つが主な原因と言われています。
8年ほど前の話になりますが、「ためしてガッテン」というテレビ番組で、「こむら返り」がテーマとなり、上記の3つの原因を検証するという形で放送されていました。
●「冷え」 → 氷水に足をつけたり出したりして、冷えを作ったチーム
●「疲労」 → ランニングマシンで、ひたすら運動させられたチーム
●「脱水」 → サウナに入り、水分をあまり摂らないようにしたチーム
この3つのチームを作り、それぞれ寝てもらいました。
さて、どのチームが「こむら返り」、つまり「足がつった」でしょうか??
正解は…
この番組では、見事に3つのチーム全てで、同じくらいの人数に「こむら返り」が起こったんですね。
ということは、「冷え」、「疲労」、「水分不足」のどれがあっても、足が攣りやすい状態となるんです。
夏場に増える理由
梅雨時や夏場にかけて、足がつる人が増えます。
当院でも、「先生、朝方にいつも足がつっちゃって…何とかなりませんか?」と患者さんに言われることがあります。
まぁ、「疲労」に関しては、時期が関係することはありません。
その方自身の運動習慣が関係しますので、一概に適切な運動量を申し上げることはできませんが、普段全く運動しない人が、たまに歩いたり走ったり、ちょっと運動すると足がつりやすくなることはあると思います。
マラソン選手や陸上の選手が、練習が原因で毎日足がつるかというと、そんなことはないはずなので、
普段運動しない方…→…普段使わない筋肉を使い、つりやすい状態となる
これが、「疲労」と言われる原因かなと思いますので、対処としては、普段から「運動しましょう」、「身体を動かすことを習慣にして下さい」ということになります。
「冷え」に対しては、この時期は、急に気温が下がる日もありますし、「冷房の問題」もあります。
冷たい空気は、下の方に溜まりやすいという特徴もありますし、「足の冷え」を訴える方が多いのも、実は夏場の方が多かったりもします。(冬場は、厚着している場合が多いので)
《暑い時期に「寒い」と感じることの危険性》
ちょっとだけ話が脱線します。
人類の歴史上?寒い時期に火を起こし、温まることはあっても、暑い時期に「寒い」と感じることは少なかったと想像されます。
水に濡れた時などに限定され、今のように冷房があるわけでも、冷蔵庫もありませんので、身体を冷やす手段が今よりも少なかったはずです。
エアコンが一般家庭にも普及し始めたのは、30年〜40年くらいでしょうか。
それまでは、多少、夜間や朝方冷えることはあったかもしれませんが、そんなに冷えることなんてなかったはずです。
エアコンの普及により、いつでも快適な温度で過ごすことができるようになったどころか、夏場に「寒さ」を感じる方も増えているんですね。
女性に多いのですが、オフィスの冷房がきつくて、毎年ひざ掛けが欠かせないという方や、「オフィスを出るとホッとする(会社が寒すぎて、蒸し暑い外に出た方が良い)とおっしゃる方までいらっしゃいます。
「暑い時期に寒さを感じる」ということは、「体温調節」の機能、いわゆる「自律神経の乱れ」につながります。
身体を冷やして良いのか、温めて良いのか、身体が判断できなくなるんですね。
「冷房病」と言われるものがそうですが、温度変化の激しい場所に頻繁に出入りをすることを繰り返すと、身体の体温調節の機能がおかしくなってしまうのは、ご理解いただけるかと思います。
「冷えは万病のもと」と言われます。
何となく外が暑いからと、冷たいものばかりを口にしていると、胃腸も冷えます。
しかし、真夏に一日中外で作業している人よりも、一日の大半を「冷房の効いた場所」で過ごす人の方が、多いですよね。
冷たいものばかりを口にする必要がないのに、「夏だから」とか「何となく暑いから」と冷たいものばかりが体内に入ってくる。
冷えてしまった内臓を温めようと、身体は体温を上げようとしますが、すぐには上がりません。
まして、身体が体温を上げようとする作業も、非常にエネルギーを使います。
夏場に多い「何となく身体がだるい」などの症状も、冷たいものの摂りすぎが引き起こすこともありますので、ご注意くださいね。
「暑い時こそ熱いお茶を」というようなことわざ?もありましたよね。
冷たいものを口にしたいお気持ちは、非常によく分かるのですが、あえて温かいものを口にして、胃腸や自律神経に優しくしてあげると良いかもしれませんね。
そういったことで、話を元に戻しますが、夏にこそ「冷え」は起こりやすいのです。
冷房の温度や空調の風向きなど、ご自身では対策できないこともあると思います。
温かいものを口にする、内臓を冷やさない、上着やブランケットなどを使って、なるべく「冷え」にも気をつけていただくことで、足のつりの対策にもなります。
また、運動で体温を上げることも有効ですし、身体が固まらないようにすることも大事ですので、無理のない範囲で運動もすると良いでしょう。
ミネラル・水分の不足について
ふくらはぎなどの筋肉は過剰に伸びたり、収縮したりすると、無理な動きによって痛めてしまいます。
それを防ぐために、2つのセンサーが備わっています。伸びすぎを防ぐのが筋紡錘(きんぼうすい)、縮みすぎを防ぐのが腱紡錘(けんぼうすい)です。
そのうちの腱紡錘の働きが低下すると、筋肉が異常に収縮し、痙攣を起こしてしまいます。
腱紡錘の機能低下には、さまざまな原因が考えられますが、最も大きな原因といえるのが、ミネラルバランスの乱れです。
カルシウムとカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあります。
この2つのミネラルを調整しているのが、マグネシウムです。
3つとも大切なミネラルですが、特にマグネシウムの不足は腱紡錘の機能低下に大きな影響を与えると考えられています。
ミネラル・マグネシウムの不足
上記で触れました「水分不足」に関しては、色々な説があると申しますか、「電解質の異常」、「ミネラルの不足」などと言われます。
電解質とは、主にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど血液中にあるミネラルイオンのことを指します。
これらのミネラルは、筋肉や神経の動きを調整しているので、脱水などが原因で、ミネラルバランスが乱れると、筋肉の異常興奮(痙攣)が起こるのではないかと推測されています。
【マグネシウムの不足】
筋肉を動かす際の電気信号には、カルシウムイオンが使われます。
カルシウムとマグネシウムは、ブラザーイオンとも言われ、マグネシウムが不足すると、カルシウムにも異常をきたし、筋肉の電気信号に異常が起こりやすいとされています。
実は、カルシウムよりもマグネシウムの方が不足しやすいのです。
日本人には、骨粗鬆症が多い、牛乳の消費が…などという話がありますが、「ストレス」や「アルコール」、「精製された白いお米やパンを食べる」ことで、マグネシウムが消費されやすい状態となると言われています。
では、実際にマグネシウムが多く含まれる食品を見て行きましょう。
マグネシウムは、「大豆」、「魚介類」、「ナッツ類」などに多く含まれます。
大豆のにがり成分は、マグネシウムだと言われていますし、アーモンドなどのナッツにも多く含まれているとされています。
【足のつりだけではない、マグネシウム摂取の効能】
マグネシウムには、足がつることを抑えるだけではなく、筋肉の成長、血糖値の制御、筋肉および神経の機能、血圧の安定化など、実に300以上の体づくりの過程に、マグネシウムの働きが大きく影響していると言われています。
https://ameblo.jp/mitsulow/entry-12354861178.html
これは、このブログの作者の方と理論物理学の先生の対談なのですが、マグネシウムの知られざる効果について書かれています。
途中、過激な内容?(笑)も書かれていますが、物理学者の先生がお話されていることですので、信憑性はあるのかなと思っています。
一部抜粋しますと…… ↓↓
どうしてマグネシウムが足りないと、糖尿になるのか?
ご飯を食べると、腸から血液に乗ってブドウ糖が身体中を巡る。
全身の細胞は、その「ブドウ糖」を血液から吸い取るんだけど、その吸い取る際の「ポンプ」の役割をしているのが、マグネシウムだそうです。
要するに、マグネシウムが不足すると、全身の細胞は「ブドウ糖」を血液から吸い上げる事が出来ず、血糖値が下がらない、と。
さらに、このマグネシウム。
洗濯機の中に入れると、「洗剤無し」で洗濯ができちゃうそうで。なぜなら「水素水」が出るから。
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その他にも、4000人を対象に18年を費やして行われたフランスの調査では、血中のマグネシウム量の高い人々はマグネシウム不足の人々と比べ、「死亡リスクが40%低い」という結果が示されたという報告もあるそうです。
食事からだけでは不十分?
マグネシウムは、食事のみで必要量を摂取することよりも、サプリメントを上手に使うと良いとされています。(ちなみに、私もサプリメントを摂取しています。)
便秘改善で耳にしたことがあるかもしれませんが、「酸化マグネシウム錠」は、身体に吸収されにくい形となっていて、腸を通過するため、お腹が緩くなると考えられていまして、サプリメントを選ぶ際には、「クエン酸マグネシウム」を選択されると良いでしょう。
国産のサプリメントでは、含有量が少ないものが多く高額なため、必要量を摂取しにくいと思われますので、「うつ・パニックは鉄不足が原因だった」の著者である藤川徳美先生が推奨されているサイトを載せておきますね。
https://jp.iherb.com/c/magnesium
もし、サプリメントが嫌だという方は、特殊な塩(マグネシウムが非常に多い)も藤川徳美先生が推奨されていますので、塩を取り替えるだけでも良いかもしれませんね。
「ぬちまーす」で検索してみてください。
水分不足に関して
足がつらないようにするために、「マグネシウム」を摂ることも大事ですが、夏場は「水分そのもの」が足りなくなりがちです。
特に、寝ている間に人間は大量の水分が失われます。寝てから時間の経っている朝方は特にです。
「夜中にトイレに行きたくないから」
と寝る前や、夜に水分を摂ることを控える方もいらっしゃいますが、思った以上に身体から水分がなくなりますので、寝る前にコップ一杯でも良いので、お水を飲まれると良いかもしれませんね。
実際に、「脳梗塞」や「心筋梗塞」などの血管が問題の病は、「朝方」に多いとされており、身体から水分が抜けてしまう時間帯に多いとされているんですね。
これは、夏場に限らず冬場でも朝方に救急車の音がする…という経験をされたことはないでしょうか?
足がつるだけの問題だけでなく、命に関わるような問題も起きますので、トイレに行くのが億劫なお気持ちはよく分かるのですが、寝る前にコップ一杯のお水で良いので、飲まれると良いと思います。
「お茶」ではなく「水」が良い理由
このコップ一杯の水というのが重要です。
よく「水分は摂っている」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、お茶(緑茶)やコーヒーにはカフェインが入っており、利尿作用がありますので、水分を摂っているようで、逆に水分が身体から抜けるということも考えられます。
アルコールなどもそうですね。
水分を摂取しているように錯覚してしまいますが、むしろ身体から水分が抜けて行き、脱水状態に陥りやすくなります。
水分補給の場合は、お水が適していると言えそうですね。
スポーツドリンクの危険性
「水分補給」と聞くと、スポーツドリンクを飲んでいるという方も多いかと思います。
しかしながら…スポーツドリンクは、水分補給に適しているとは言えません。
なぜなら、糖分が多すぎるからです。
画像にも添付しましたが(ネットからお借りしました!)、スポーツドリンク中に含まれる砂糖の量を見てみても、かなりの量が含まれていることがご理解いただけるかと思います。
この時期怖いのは、「熱中症」だと思いますが、汗をかくと、交感神経が緊張しやすい状態となります。
それにより分泌されたアドレナリンやコルチゾールの働きにより、血糖値が上昇する傾向にあります。
そこに糖分をたっぷり含んだスポーツドリンクを摂取すると、血糖値をさらに上げてしまうことになります。
「ペットボトル症候群」という言葉をご存知でしょうか?
喉が渇いて、スポーツドリンクをこまめに摂取しているという方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、糖分を大量に含んでいるため、飲むたびに血糖値が上昇します。
血糖値の上昇は、インスリン分泌を促し、太りやすくなるのはもちろん、膵臓に負担をかけ、インスリンの働きも悪くなります。
高血糖状態は、さらに喉の渇きを誘発しやすくなり、甘いジュースやスポーツドリンクを飲めば飲むほど、「喉が渇く」という状態となり、それに気付かず、
「喉が渇く → いつもペットボトルが手放せない」
という無限のループ?のような状況になります。(これがペットボトル症候群と言われます。)
そうなってしまうと、すでに「糖尿病」になっていることも考えられますので、身体に様々な危険性が増してしまうことになります。
スポーツドリンクは薄めて飲めば良いのか?
よく、「スポーツドリンクを薄めたものが、身体に良い」と言われることがありますが、これも正しいとは言えません。
最近では、運動中にスポーツドリンクを飲むことは、血糖値の上昇により、パフォーマンスを下げるとも言われており、例え少量であっても、血糖値は上がりますので、先ほどの中毒症状のような無限のループは起こります。
「水分・ミネラルの補給のために」といった宣伝を見かけるので、身体に良いものだと勘違いして、乳幼児にも与えてしまう方がいらっしゃいますが、歯が溶ける、つまり虫歯の原因になってしまいます。
「健康に良い」・「水分補給に万能な飲み物」のようなイメージをお持ちかもしれませんが、おススメできるものとは言えません。
ちょっと話を元に戻しますね。
ですから、水分を効果的に摂取するためには、水やカフェインの含まれないお茶などが適していると言えます。
「お酒を飲んだ日に、足がつりやすくなる」
ということもあるかと思いますが、それはアルコールの利尿作用によって身体が脱水状態となっているからです。
お酒を飲むと、浮腫みやすくなるのも、アルコールの分解のために水分が必要となり(水をたくさん飲んだり)、過剰な水分が浮腫みとなるとされています。
このように、水分不足になりやすい要因は、様々あります。
特に、夏のこの時期は、汗をかく機会も多いと思いますので、水はもちろん、塩分を控えすぎてもいけませんので、塩分摂取も忘れずに!
まとめ
ここまで「足のつり」、「こむら返り」についてご紹介して参りました。
当院でも、「足がつる」とのご相談はよく受けます。
施術を通して、身体のバランスや足の使い方を整えることはできますが、マグネシウムの不足や水分不足があると、なかなか改善には向かいません。
また、当院の患者さんでも多いのは、身体を緊張させてしまう方が多いということです。
「緊張」状態が長く続くと、筋肉が硬くなります。
硬くなった筋肉は、痛みを出しやすくなりますし、疲労も感じやすくなります。
足のつりやすさも、「緊張」と関係しているかもしれません。
当院が常々お伝えしているように、「脱力」を意識して、肩の力や背中を緊張させることなく、下半身も意識して脱力できると良いですね。
では、長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。
お電話ありがとうございます、
よこはま山手治療院でございます。